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第22回 地方出版文化功労賞受賞作

第22回地方出版文化功労賞は、昨年の10月24日から11月5日、鳥取県倉吉市倉吉市立図書館で開かれた「ブックインとっとり2008」に出品展示された全国の地方出版物(対象約750点)の中から、各地区の推薦委員および一般の来場者による会場での投票により12点を最終候補作として挙げ、12名の審査員が持ち回りで数カ月にわたって審査し、本年6月20日の最終審査会において決定した。
 その結果は以下のとおりです。

 

●第22回地方出版文化功労賞及び特別賞
■医者、用水路を拓く−アフガンの大地から世界の虚構に挑む
著者 中村 哲(なかむら てつ)
1946年福岡市生まれ。九州大学医学部卒業。国内の病院勤務を経て、1984年パキスタン北西辺境州の州都ペルシャワールに赴任。以来ハンセン病コントロール計画を柱にした、貧民層の診療に携わる。1986年からはアフガン難民のための事業を開始、アフガン北東山岳部に三つの診療所を設立。98年には基地病院PMSをペシャワールに建設。2000年以降は、アフガニスタンを襲った大旱魃(かんばつ)対策のため水源確保事業(井戸掘り1600ヶ所・カレーズの復旧40ヶ所)を実践。02年春からアフガン東部山村での長期的復興計画「緑の大地計画」を継続、03年からは灌漑水利計画に着手、07年4月第一期工事完成。09年7月第二期工事完成、全長24キロ。年間診療者数約8万人(2006年度)。著書・編著に『ペシャワールにて』『ダラエ・ヌールへの道』『医は国境を越えて』『医者井戸を掘る』『辺境で診る辺境から見る』『空爆と「復興」』『丸腰のボランティア』『アフガンの診療所から』など
発行所 石風社
福岡市中央区渡辺通2−3−24 電話092−714―4838
発行者 福元満治
体 裁 375頁 定価1890円(本体1800円)
発 行 2007年11月30日
●受賞理由
功労賞・特別賞
著者はアフガニスタンでの医療・診療所建設・井戸掘りなどの活動で著名な医師であり、すでに何冊も活動記録や情勢についての著作を発表し、マスコミでも取り上げられてきた。そのため、これまで本賞の候補に挙がった際、本賞の目的である地方出版を元気づけたいという趣旨から他の作品に席を譲ってきた。作品の質の高さは認めつつも今回も見送り、記念となる回に特別賞という形で顕彰すべきという意見もあったが、議論の結果、功労賞、特別賞を併せて贈ることとした。

作品はこれまでの著作以上に高く評価され、以下の理由で圧倒的な支持を得た。
1.資金、参加者及びその組織化、技術の開発などこれまでの活動に比べ、遙かに大きな困難を抱える、13kmの用水路を地元の人たちとともに造ることが、長期にわたって生活の安定ひいては紛争の解決につながることを見据えて実現されていく記録である。
手っ取り早く効果の出る援助でなく、長いスパンを考えた国際貢献のあり方を考えさせる。
2.技術的な問題など読みづらい内容を含むにもかかわらず、読者を引きつける文章の力と、巻末資料なども含めた、我々の知らない情報の質の高さ。
3.昨今読まれにくくなった社会性の強い内容を含み、若い世代へ大切なメッセージを伝えている。

併せて特別賞を贈ることとした理由は次のとおり。
1.20数年にわたりアフガンでの活動に従事しつつ、現代の日本に対してメッセージを発し続けていること。
2.その活動を支え続けているペシャワール会の息の長い支援活動。
3.中村医師の作品を当初から出版し、メッセージの発信面で支える石風社の出版活動 これらの連携・協働があって、これまで長期間にわたり発信し続けられたことに敬意を表し、これからもその活動がさらに続けられることを期待して特別賞を贈る。

●第22回 地方出版文化功労賞 奨励賞

■それゆけ小学生! ボクたちの世界一周
著者 かやのたかゆき&ひかる 編者 久米美都子
・かやのたかゆき
1995年福岡生まれ。人生初の海外旅行が0歳6ヶ月の韓国。その後、母につきあわされ、マレーシア、タイ、インド、フィリッピン、ラオス、モンゴル、ベトナムなどへ。体は丈夫。好きな食べ物は白ごはん、刺身、わかめのみそ汁など純日本食。

・かやのひかる 1998年福岡生まれ。人生初の海外旅行は0歳11ヶ月の韓国。
のどが弱く、フィリッピンとベトナムでは排気ガスによるのどの炎症で発熱。旅で
ケガが多く、皮膚も弱いためすぐトビヒになって弱かったが現在では一番体力あり。

・久米美都子 1964年福岡生まれ。福岡女子短期大学国文科卒業。地場企業OL時代、アメリカ旅行を機に旅行関係会社に7年勤務。「一般旅行業務取扱主任者」取得。1994年、ひとりで世界一周。帰国後結婚、出産。大学や専門学校、カルチャースクールで一般旅行業の資格講師を務め、地元情報誌などに旅行のエッセイ執筆、ラジオ等に出演。2000年より子ども2人連れバックパッカー旅行を開始(年2回)これまでに約70回渡航。50カ国訪問。1996年より旅好き人間の交流会「旅の茶話会」を月1回開催。地元のカルチャーセンターで「見て聞いて楽しむ世界一周&旅の究極のコツ」講座を開講している。
発行所 石風社
福岡市中央区渡辺通2−3−24 電話092−714―4838
発行者 福元満治
体 裁 234頁 定価1890円(本体1800円)
発 行 2008年5月10日
●受賞理由
奨励賞
家族4人で1年間にわたる海外バックパッカー旅行を行ったことを小学生(当時)が記録し、それをお母さんが編集した本である。と聞くと多くの方があまりできの良くない自費出版本を思われるかもしれないが、見事に裏切られる。 有名な観光地に行ってもそこで書かれる内容は観光地そのものではなくて、そこでお金を稼ぐ子どもに多くさかれたりして、子どもの視点のおもしろさが伝わる。また、感謝・感動・出会い・親切・優しさ・恐怖・疲れ、海外で活躍する日本人への驚きとうれしさなどが素直に綴られている。余りメジャーではない国(だから結構危険な国も含め)を家族の協力で巡っていくその楽しさや大変さが素直に伝わってくる、読みやすく、楽しい本である。いろいろな意味で元気づけられる本でもある。多くの子どもたちが(大人もですが)この本を読んで自分の殻を破るよすがにして欲しい。また、経費や交通手段、注意すべきことなどバックパッカー初心者の入門としても楽しめる。なお、1年間の旅行を許可・支持した学校・教育委員会など関係者にも敬意を表する。



審査委員
  審査員長    齋藤 明彦(鳥取県自治研修所長)
  副審査委員長 北尾 勲(鳥取県歌人会会長)
            篠村 昭二(教育史研究家)
            金澤 瑞子(倉吉市文化団体協議会)
            上田 京子(米子市立図書館司書)
            岩田 直樹(鳥取県立鳥取西高教諭)
            松本 薫(NHK文化センター講師)
            金田 倫子(情報誌『鳥取Now』元編集者)
            森本 良和(鳥取県立図書館長)
            松田 暢子(日野町立図書館長)
            岡本 康(元高等学校長)
            田中 玄洋(学生人材バンク代表理事)